「枯れる事のない涙」


冷たくなった君にぬくもりを
護れなかった僕に制裁を

こんなに弱い僕に愛をくれた君
愛しくて愛しくて
こんなに涙流して何も出来ない僕
悔しくて悔しくて

この身捧げ 神に祈るよ

涙枯れ 恋焦がれ
君の元へ行けることを

降り続けた冷たい雨は 僕の心
悲しみの量を涙の量に換えられるはずもなくて
ただ枯れることの無い涙だけが
神の存在を否定した

それならいっそこの涙
空から降り落ちた雨のせいにして

 

 

「指切り」

あの指きりを覚えてる?

ただがむしゃらに走っていた頃
怖いものなど何も無くて
すべてがアニメのワンシーン

夕暮れに街が染まる頃
澄んだ空気に包まれて
二人は約束を交わし合った

あの時の小指を絡めた感触は
すでに忘れているけれど
あの時の君が紡いだ言の葉は
今でもはっきり覚えてる


君は僕を覚えていますか?
まだ僕を好きでいてくれてますか?

どこまでも蒼い、風に揺られて
いつまでも君からの答えを待っていよう

 


「I was born to love you」


一生を誓い この身捧げ
夜明けと共に愛を与えよう

何処までも続く蒼い空が
地上へ残してくれた道標
君と二人なら見つけられそうな気がして
それは根拠も無いんだけれど

さあ行こう 明日の向こう側へ

手を繋いだままなら辿り着ける気がして
それは温かいだけなんだけれど

君の手がいつか冷たくなった時でも
離しはしないよ最期まで


僕は君を愛する為に生まれてきたんだから

 

「追憶と涙」


涙が邪魔で思い出せない
あの時 僕の傍らに居た人を

胸にしまう幼い心
二度と出て来ないように鍵をかけて
海に沈む記憶の欠片
二度と浮いて来ないように重りつけて

吹き止まない風よ
僕をそっと撫で上げて
僕をきつく締め上げて

あの頃の僕らは確かに愛し合ってたよ

名前も顔さえも忘れてしまったね
ただ一つ覚えているのは「ありがとう」
最初で最後の君の言葉

それさえもまた、涙が落ちるたび忘れていった

もう君の事を想うのは止めよう
涙が邪魔で思い出せなくなってしまうから

 

「瞼にキスを落としましょう」


優しい風に微笑みを
遠く彼方見つめて

朽ちゆく友に同情を
手向けの花をそえて

廻る命のように 
波間にたゆたう小舟
貴方を乗せて何処へ行くの?

知らないものを追い求め
地の果てまで行こうとするのね
彷徨いながら 揺られながら

きっと貴方は 氷の柱にすがりついて
終わることの無い祈りを捧げるでしょう


冷たくなった貴方のその瞼に そっと
キスを落として慰めてあげましょう

大丈夫 私は此処にいる

 

「遠い日の歌」


凍てつく氷に微笑みひとつ
温かさを忘れてしまうくらい
冷えきった空間の真ん中で
ああ 呼吸している

彼女が与えた囁きひとつ
シスターのように祈り捧げ
何処の誰かも分からぬ叫びに
ああ 呼応している


聞こえるよ、まだ聞こえている
振り返る過去 遠き日のあの歌が

眠れぬ夜は思い出そう
彼女の顔 彼女のキス 彼女の歌

聞こえるよ、まだ聞こえている
進めない未来 遠き日のあの歌が

これで僕もやっと眠れるよ
さよなら さよなら ごめんな


それは彼女が歌った愛の歌
僕にくれた たったひとつの宝物

 

 

「物語に終止符を」


砂漠の熱に追いやられた
小鳥が地上に身体寝かせて

地の底深くへ落ちていく
人々が伸ばしたその両手

日々遠くから流れてくる
寂しい哀しい歌を耳にして

私が創り出した世界の物語
もう終わりにさせたくて
もう見ていられなくて

物語に終わりは無いんだよと
言った貴方の瞳に映る世界
疑っても良いかな 今だけは

貴方も物語の一部
私も物語の一部

終わる世界に忘れ物は無いのに
それなのに悲しみという感情が募ってばかり


私はどこで終止符を打てば良いの?

――そして今も物語は続いている

 


「こころの音」


ねえ聞こえる?私の音が

どんなに上手く歌えたって
どんなに上手く奏でたって
聞いてくれなければ意味がないの

今の皆はただ闇雲に歌ってる
暗闇の中手探りで、弱く
明かりなら私が照らしてあげるのに

ねえ聞こえる?私の音が

お願い 哀しい曲にはしたくないから
指が凍り付いて動けなくなる前に
お願い 温かい曲にしようよ
そしたら笑顔で弾ける気がするの

結局凍ったままの指は
皆を拒んで遠ざけたけど
それでも奏でたこの楽譜には
皆の歌を引き立てたい
その想いばかりが詰め込まれてた

涙と共に楽譜が落ちて
涙と共に想いが消えた


ねえ聞こえる?

私の叫びが

 


「涙見せてもいいよ」


顔にタオル 微かに聞こえる泣き声が

隠さなくても良いのに
貴女の全て 包み込んであげるのに


強がりと私は笑ったけれど
貴女はそれでも隠したけれど

そんな所が好きだった

泣いたって良いんだよ

 

でも貴女には 笑った顔が似合うから

 


「片方の羽根を捜しましょう」


神様に願った望みは
淡く映る空の虹のように
綺麗に叶えてはくれなかった

翼が欲しいと、そう願う
自由が欲しいと、そう叫ぶ

我侭な娘に与えた羽根はひとつ
片方しか翼は生える事が無かった

自由に空を飛ぶことも
寝転んで空を見上げることも
許されない哀れな少女は立ち尽くす

しかし再び歩き出した
揺るぎない強い瞳を携えて
白い光が導く方へ

もうひとつの羽根を捜して