「世界の約束」


時の始めに交わした誓いの証
それは普遍に廻る生命の魂

途切れることのないように
忘れることのないように

まだ見ぬ明日へ語り継がれていく伝承

大地を胸に 大空を羽ばたくあの鳥は

世界の約束を知っているだろうか

 

「卒業写真」

はにかんだ笑顔で写る君 
綺麗で目映い光を帯び

思わず僕も微笑んだ 
それはきっとまだ君が好きだから


いつかのあの夢は消えてしまったけど
いつかのあの恋は終わってしまったけど

それでもまだ繋がっていると信じたい


あの時の 涙流す君はもう見たくないんだ
笑顔の君 アルバムの中でいつまでも


「黒ネコ」


降りしきる雨 傘をさすことにもう意味は無くて
あの時僕は精一杯に走ったよ 君に導かれるように 

ダンボールの中で凍えていた君
暗闇の中に黄色い目が2つ

見つめ合う僕ら 言葉など、ここにはもう必要無くて
あの時君を抱き上げたのは 同情じゃ無かったよ


僕は君の美しい姿にただただ 惹かれてしまっていた
不幸な運命を背負う君に

紛れもなく君は 僕の友達

幸せ運ぶ 黒いネコ

 


「猫に花を添えて」

 

夕暮れ この街を橙に染めた頃
猫は独り 歩いていた
その小さな口に 一輪の花をくわえて

行く先が長く果てしなくとも
怯んだりしない 怯えもしない

泥まみれ それは運命に逆らうよう
猫は独り 歩いていた
その小さな足で 傷をひとつと残しながら

この想いよ 届け貴方に

猫に託した 命の花

きっと雨が降り続いても 夜がやって来ても
猫は歩き続けるだろう 


この花 届けるまで


「ハロウィン」


薄暗い静寂が取り巻く村


醜い僕らは お菓子を求め
胸の鼓動なんてしやしない

ただただ僕らは 風を掻き分け
卑劣な悪霊 それでも良い

騒ぐ森が遮ろうと
脅えた声が響こうと


ジャックランタンの光が 眩しい


Trick or treat?


お菓子をくれたら悪戯しないって、誰が言った?

 


「道端の花を握り締めて」


君との出会いは確かな偶然 つまりは必然

君との交わしは温かな感情 つまりは恋愛

日が落ちる 黄昏の中で
路傍に佇む ただ独り
声もあげずに泣いている

そんな君を強く握り締めたのは僕


家にそっと飾ろうと

大事に大事に育てようと


「暗闇で猫が鳴いていた」


何も見えない世界の果て
暗闇だけで成り立つこの片隅

物音一つで君は肩を震わせた
それを包み込んでやる事も出来なくて
ただただ無力さに泣く僕の心

何処からか声がした
姿は見えないが確かに聞こえた
あの猫の声が 暗闇から

捜してあげてよ 哀れな猫を
もう泣くのは止めにして
君が好きだった猫じゃないか


ああどうか、この子が泣き止むまで
君は鳴いていてくれないか
見えない姿に祈りを捧げた 僕だった

 

「途切れた魔女の唄声」


鳥が騒ぐ 森が踊る
薄暗い夕暮れ時

少女は聞いた 唄声を

地の底から誘うような
天の上から包むような

凍えた手をした少女は駆け出した
そこに温もりがあるかは知らないけれど
ただ走り続けた 唄の導く方へ

死の手招きから逃げるような
霞む夕日を求めるような

 

姿が見えた 暗闇に
少女の瞳の光が揺れた

唄っていたのは黒い影
亡者のような醜い魔女

唄が途切れる 時が止まる


そして、少女は森へと消えた

 

「トワイライト」


幼い日の残像 頭の中で渦まいて
駆け出していた ちっぽけな僕
目が合ったら涙が零れてしまいそうで

温かい手 痛いほどに感じていて
冷たい手 苦いほどに入り込んで

街が赤く染められた
もう夕暮れ時 
君の匂いがするこの街と
お別れする時

去り行く僕の元へ走って来たのは
何より誰より愛しい君
黄昏に映る幻影だとしても

まだ見えるよ君の姿が
掴むその手は冷たいけれど
まだ見えるよ君の光が
大丈夫行けるよ遠く先まで

日が沈む その時を
最後まで 君と見つめていたい
今なら君の手離さずにいられるから


僕と君のトワイライト